2005'1月 作品発表

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連詩 「夢」 2005/01/17
 

グラスを口にする前から
すでに惹かれていた

艶やかな紫色の芳醇な丸みから
つくられるという、それだけのことで
気持ちは甘く融けていく
その高鳴りのひそやかさに
見知らぬ喜びのきざはしを見ているような
そんな少女だった

それから・・
幾夜の宴が過ぎていき
あらゆる香りが鼻腔を満たしていき
それでもまだ
心ゆく何かが訪れないことに
ちりちりと焦れていることさえ
とうに忘れてしまったとき
目の前に
一杯のワインが置かれた

洗いたての髪と
素顔のままのくちびると
深緑の葉にふちどられた一房の葡萄を
耳元に飾って
華奢なグラスを手に
痛いほどのまなざしを受け止めて

いま ほんとうに
長い夢から覚めたのだろうか
ひとときの見果てぬ
幻のようなあなたという現実を
わずかの悲しみも恐れもなく

満天の星空の片隅で
真夏の海風にふかれたままで
わたしは・・・
                           marie

夢の中で逢えたら、それで満足だろうか?
たとえ遠い地にあっても、心がつながっていれば
それで満足だろうか?

今の僕には答えることができない
なぜなら、君に会いたいから

いつまでも会えない君を、夢に描いても
苦しくなるだけ

僕は、そうだな、楽に生きてる
苦しい恋はしないのさ
いつからか、そんな生き方しかしなくなった

ついでに言うなら
こんな年まで生きてるとは思ってなかった
十七歳のあの日に、すべてが決まってしまったように
僕は生きてる

だから、あまり望まない
明日はやってくるけど、僕には、そう興味もない

一月の寒い風に吹かれて
そんな事を思ってみたけど、明日にはどうせ忘れるから
気にしないでいいよ

夢は君のものだ
                           rem

夢の中で会えたら
今の本当の気持ちを伝えたい
いつも冗談ばっかり 笑ってばっかりいるけど
ほんとはね 大好きなの

冗談だよねって言われたの
ちょっと悲しかった
本気のつもりだったのに
からかっていないよ 嘘はついてないよ
それがほんとの気持ちなの
振り向いてくれなくてもいいから
片想いでもいいから

夢の中で会えたら
今の本当の気持ちを伝えたい
今の本当の気持ちをわかって欲しい
それだけでいいから それだけでいいから
                           キキ

なぜと問われても こまるけど
儚という字が 好き
そう 夢は儚いがゆえに夢
少女のころに描いた夢も
毎夜 貴方の姿を求めてみる夢も
散って散って降り積もる

また一人で飲み干すカベルネ・ソーヴィニョン
突然 貴方が訪ねてきてくれないかなんて
儚い夢
一緒に暮らせなくても一緒に生きているよなんて
甘いことば いつまで信じているんだろう

少しだけ泣いて眠ろう
夢は見ずに眠ろう
                           Trill
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