2005'3月 作品発表

戻る
 
 
 

連詩 「春  〜東京〜」 2005/03/14
 

待ち合わせは溜池山王で
何度か行ったフレンチがあるから

ロゼのグラスで乾杯しようか
窓際の席でよかったな
外光のまぶしさに照れくささが隠せるね

長いコートが消えてしまう
三月という暦は
ランチどきでも老若男女
ワントーン軽やかになった服装で
静かな店もけっこう賑わうものなんだ
出会いと別れのおびただしさに
軽薄に華やがないと暮らせない街だから

ほら、この坂が桜坂
アークヒルズを右手に歩いて
少し行くと、この歩道橋だよ
ガイドブックにも載ってはいないさ
橋の上から桜並木を見ると
ほらね
くるくると目の底に永久運動していく
儚くも美しい花の舞が見られるよ

咲いたかたちのままなのさ
小鳥たちが蜜を啄ばみ
そのままに散らしていく
はらはらと舞う桜の花びらの落下傘だ

ああ
花車でも吹雪でも
桜は綺麗に散るね
眺める人の日々の重たさを
脱ぎ捨てさせて
桜は散るんだね
                           marie

今年の春は、どこで桜を見るだろうか
去年、国立の桜並木、写真を撮りながら歩いた
駅から大学までの道、桜が満開で
とてもきれいだった

桜は東京から遠く離れた、僕の家の近所でも咲くけど
東京の桜は、一味違うなと思ったものだ

新宿のカプセルホテルで、ジョージハリスンの死のニュースを見たり
早朝のマクドナルドで、ソーセージエッグマフィンを食べた国分寺
電車がないから帰らないといけないと、思いながら飲んでいた練馬
なんとなく通った秋葉原、新幹線を降りる東京駅

僕の知ってる東京は、そのくらいだけれど
桜に荷を負わせるほど、大変な都会なのかな?

通学路に咲いている桜は、なにも知らず
ただその、花びらの白さだけをさらしている
東京とここの違いを少し思いながら
今年は桜をみるのだろうか
                           rem
.//
 
 

連詩 「白鳥」 2005/03/09
 

空に白鳥座が輝く
冬の夜空
君の吐息にも似て、白くけむって

もう訪れることのない北国のように
翼を休める白鳥のように
ああ、僕はどこを漂っているんだろう

君のもとへ近付きたい
空を飛んで
もう、そらへと飛んでいけ

                           rem
風に乗り 風に逆らい
飛びつづけるあなたを見上げている

どうか私の元へ舞い降りてきてと
願っても、ねがっていても
伝説の湖を目指したまま
あなたは飛んでしまうのね

その姿を見ることが
どれほどに胸を締め付ける苦しさなのか
あなたは知らないけれど
それでも私の眼には
あなたを追う喜びが麗しく満ちているはず

白鳥よ、名も無きしらとりよ
たとえ
舞わなくても歌わなくても
私を魅了するあなたのままで
そのままで
                           marie
.//
 
 
 

連詩 「梅の咲く頃」 2005/03/06
 

人知れず 蕾を膨らませる 梅のように
大切に 大切に 秘めてきた あなたへの想いが
もうすぐ 花を咲かせます

何があっても 変わらない
ずっと ずっと 愛してる

微かな香りに託した想い
通り過ぎた後に
あなたは気付くのでしょう
                           Trill

この丘を越えた里に
その樹はあるよ
とても老樹なんだ
雪の重みに傷ついていなければいいが

君の手首のように
白い白い花びらなんだ
それでさ
芯は一筆さしたように
ほんのりと薄紅色
それも気に入っている

澄んだ香りがするだよ
うんと近づくと
急に濃い匂いになるのさ
不思議なんだよなぁ
見えない境目があるみたいなんだ
その樹の世界に入ると
香りの滝に
洗われるように感じる・・
だから
朝一番に会いに行くんだよ

君を見せたら
喜んでくれると思うんだ
春が来たって

そんなに笑うなよ
可笑しいかなぁ
                           marie

春が来たら、何か新しいことが起きるような
そんな期待に胸をふくらませる

まだ冬の寒さが残るこの季節でも
梅はつぼみを膨らませ、明日への期待を抱かせる

いつか君と見れたらいいなって
淡い期待もそのままに

春はもうすぐそこまで
僕等の想いがかなう日は、本当はそこまで来てるのかも

カメラを持って出かけるよ
梅の咲く頃、春を記憶しておくために

君の香りは、気づかなくても
梅の香りは、通りすぎても
                           rem
.//