2005'5月 作品発表
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連詩 「家族」 2005/05/26
この空の広がりの下
どこにいても
この風の渡る先
気配にふれる
この木の茂る枝の下
ここにいる
あなたの吐息がふれる
とても穏やかな気持ち
意識していないのに
意識の中にある
ねぇ…コーヒーにしようか…
hiro
かかとに穴があきかけてる靴下
色あせたTシャツ
ひざの抜けたズボン
ロゴのはげたトレーナー
縫い目がほころんでるジャケット
仕事着だから 古ぼけてるぐらいでちょうどいいって
でも もうすこし おしゃれさせてあげなくちゃね
ありがとう あなた
毎日 ほんとにご苦労様
この夕立に きっとあなた 濡れちゃってるわ
面倒がらずにちゃんと 着替えてくれてるかしら
でも 明日もまた 洗濯物の山ね
Trill
離れているほうが貴方を感じる
足首を気まぐれにくすぐる夏風に
紛れ込んでいる微かなその匂いを
たどれたどれば
貴方のうつむいた耳元に
私のつぶやきが流れ込むように
いま感じてよ
言葉より温もりが
まなざしより口づけが
血潮をかきたてるように
いま感じてよ
寄り添う心を
大切な貴方を
marie
僕の家族は、生まれ育ったこの家にいた
今は遠く離れたり、既に亡くなっていたりするけれど
親、兄弟が、今でももっとも親しい家族
当たり前のように、生まれた時からいた
これが血縁と言うものかな
ちょっと変わっているかもしれないけど
僕のもっとも大事な人々
いろんな歴史があったこの家に
幕を下ろすのは、僕なのかもしれないと
少し思わないでもないけど
それも、この家で生まれた僕の定めかな
家族って、そんな絆かな
切っても切れないものなんだろう
いつまで経っても、この家に居る
そんな気がする
rem
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連詩 「空」 2005/04/27
目を開けて探しても
見つからないときがある
そんなときは
あごを上に向けて
意識だけ飛ばしてみるのよ
思いは尖ったくちばしに変わり
わたしの体は羽になる
見果てぬ夢のさき
夕日に輝く雲の美しさ
どこまでも行けそうな気持ち・・・
目を開けて・・・
その時を待つかのように
あなたの眼差しが落ちてくる
視界のすべてを
あなたの微笑がふさいでしまう
空が見えない
あなたしか見えない
いまのわたしの心には
marie
空を飛ぶように自由だった
そんな頃があっただろうか?
五月の空は
望みも、諦めもない
ただ、青く広い
明日と言う文字も
空に吸いつくされて
無限の彼方まで、見えない
ただ空の下にいる
僕等の上にはいつも空がある
rem
いつもそこにあった貴方の笑顔
いつも聞こえた貴方の笑い声
どこへ消えちゃったのかしらね なんて
強がりな ひとりごと 呟いてみる
日曜の昼下がり
貴方は今頃 誰に 珈琲を淹れてあげてるのかしら
やっぱり サティを聴いてるのかしら
皮肉なものね
ジムノペディ やっとうまく弾けるようになったけど
猫に聴かせてやってるわ
青い空に祈ってる
心を全部 吸い込んでしまってくださいと
貴方を想う心全部 吸い込んでしまってくださいと
もうすぐ リラの花が色付いて
貴方に出会った季節が巡ってくる
だから 早く
どうか 早く
吸い込んでしまってくださいと
Trill
悲しい気持ちに満ちたままで
空しい気持ちを抱えたままで
いつもの生活にもまれて
いつもの時に流されて
ふと気が付けば頭の上には青い空・・・
瞬間 空の青がいっきに心になだれ込み
心が空にひろがっていく
無限の宇宙(そら)へ解き放たれる心
そしてあなたの空へ・・・
そして私の心に・・・
明日からもがんばれる
hiro
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