2005'6月 作品発表

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連詩 「煙草」 2005/06/19
 

どのくらいの時間がたったのだろう
あなたが出て行ってから
机の上に置き忘れられたKENT
左手だけで器用に一本取り出したら
くるりとひっくりかえして トントントンと3回
あなたの仕草 真似して 火をつけて

煙草を吸う女は嫌いだって言うから
でも きっと関係なかったね
煙草やめてなくても あなたは 出て行ったわ

あなたの匂い
煙の中に甦る 優しすぎた時間
マッチ売りの少女の見た幻のよう

このまま 想い出を抱いて消えてしまえるほど
甘くはない現実
おとぎ話のヒロインには 永遠になれない
でも あと少しだけ あと少し 煙が消えるまで
あなたを感じてさせてよ
最後の我侭・・・ね
                           Trill

煙草の煙の中にあなたの影をみつける
あなたとの思い出がまるで煙のように
揺らいで見える

たなびく煙草の煙が空間に拡がりゆくように
あなたとの思いでも薄らいで行けばいいのに・・・

でも煙草の煙を見つめれば見つめるほど
あなたとの思いではどんどん鮮明になっている
まるでこの煙草の香りのように・・・

いつしか身体に染みついた煙草の香りも
時代の流れとともに消えていくように

あなたとの思いでもセピア色に染まって
そのうち消えていくのだろうか

でも今はただこの香りがつらい・・・
                           hiro

タバコの煙のように消えてゆく
何もなかったのさなんて
誰にも言わないけど
煙のように消えてゆく、そんな女

別にキザじゃないさ
その通りの事を言ったまで
何も残さずに消えるなんて
そんな芸当、誰にでもできることじゃない

紫煙が消えるまで、この匂いを嗅いでいよう
消え去るのが上手なら
こっちも忘れてやるから
忘れて、また煙草に火をつければいいさ

ジミ・ヘンドリックスがいかれたギターを弾くように
パープルヘイズは歴史に残る
                           rem

ちょっと困ったときのように
あなたは視線を落とすのね
そして指先だけ
その箱の一辺に動いていく

なにを考えているんだろう
ううん
なにも考えてはいないの

いつのまにか用意されていた
言葉をさりげなく取り出す
つかの間の儀式なの

どんな裏切りが潜んでいても
それが
昨日よりもっと怠惰な優しさだけでも
煙草の香りに酔うように
火をつけるあなたのしぐさを
ただ、愛しいとみつめている

もっとも無防備な
あなたの気持ちをみつめている
                           marie
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