星空のディスタンス

 
 
 
 

梅酒

すっぱくてあまい香りの酒

父親の思い出がつまった
最後のビンは
まだ家にある

僕は新しいのを作る
父親と同じように
父親のを飲み干さないように

新しい酒をつくる

だから乾杯しよう
乾杯
 
 

精密機械

君に会いたい
もういちど
僕は恋をした
二人だけの愛
それを育てたい

でも、でも、
いつもそれでいいのか
という
声も聞こえる

その声には
いい、と
答えられない
いつまでも、答えが出ない
精密機械
 
 

タイタニック

海の貴婦人
最新の科学を詰めた、人類の希望だった
それが、沈む

ロマンティックなどではなく
氷山にうち砕かれた
人類の希望を眺めてみるべきだ

僕らはどこへ行こうとしている
わからないわけじゃないだろ
考えればわかるはずだ

僕らは自由を
僕らは生命を
僕らは地球を

守ってゆく義務がある
それを考える、それが人類のとる道では
ないだろうか

もう一度言う
タイタニックは沈んだ
悲しみなどない
 
 

風が秋風

わたしのこころに吹く風よ
もう冷たくなったのか
夜空を見上げて
星に願いを

風がさぐる、あなたの場所を
遠くに台風が迫っているのに
こころはもう
秋風

雪の舞う大地に
空よ還れ
 
 
 

またね

命が陽炎のように消えてゆく世界では
僕はただ一人川辺で、それを眺めている番人
誰も僕の隣に来なかったと思いつつ
沈んでゆく命達を眺めている

さよならバイバイ

あなた達には今度はもうありません
僕が決めた訳じゃない
そのいいわけは聞き飽きた
もう反省の機会もない
喜んで死ぬべきだ

俺はただここにいる
私と友に
手を差し伸べたのに
僕は救いを彼らに与えて欲しいと
言ったのに

叶わない夢なら
地獄におちてから後悔すればよい
でも地獄もないよ

こんどは本当の魂の消滅だから
地獄も天国も見てきた
僕の言うことに
間違いはない

私と俺が、それを知っている
さよならを言うな
またね
 
 
 

夜の翼

褐色の翼
羽を持ち
うるさく羽ばたかす

うるさいなら
飛ぶな

夜を待って
飛び立つなら
それなりに、考えてのことだろう

夜の翼
今の僕には
いらないもの
 
 

今日

今日はいつ終わるのかな?
眠ったときに、区切りがつくのならば
眠りは一日の終わり

だから夜に寝よう
ラビリンス
そんな言い訳聞きたくない

どっかへとんでゆく
そんな力がまた
戻ってくるまで

眠っている
 
 

本当の私

誰が決めるでもない本当の私
そんなものどこにあるんだという本当の私
きっとウソをついているに違いないという本当の私

じゃぁ僕は本当の私だ

疑問ははさまないで
本当の私なんて
どこで見分ければいいのかわからない

でもこれだけは言える
俺は俺にウソはついていない
本当の私
それがあなたに見えますか?
 
 

不思議な魅力

不思議だ
こんなに愛を感じるのは
不思議だ
こんなに抱きたいのは
不思議だ
あなたをさわりたい

だから、わたしに会いに来て
どんな人が言っても
この思いはかわらない

不思議な魅力ですね
愛してはいませんよ
 
 

教えない

子供の頃、
自分はどんな大人になるんだろうと
思っていた

大人っていつからなるのって
今思っている

そんな大切なことは
誰にも教えられたりしない
 
 

太陽がいっぱい

波音が風を呼ぶ
空が青い
太陽がいっぱい

これから起きる惨劇は
おれのせい
俺を責めるのも
罪をかぶせるのも
でも
事が起こってからにしてくれ

今は
太陽がいっぱい
 

つり

釣れるときは釣れるし
釣れないときは釣れないね

もう夜になったし
明石海峡も通る船も
明石大橋を渡る車も
米粒のような光を出してる

夜の大海へ

僕らは、今から帰るけれど
君たちは、今からが本番なんだね
 

秋が来た

今年の夏は暑いだろうと言った
しかし、それも過ぎ去った

秋が来た
長袖のシャツに腕を通して考える
なにかいいことあったかな?
僕はいつまでも首をかしげてる子供

終わった何もかも
なんて大人しか思わない
 

白昼夢

訪れる白昼夢
まるで夢のように君を抱いた
射精した後に
華やいだ君の香りが
脳裡を襲う
ぼくは君を犯し
君は僕に犯され
華やぐ
まるで
ひとときの香りが鼻孔をくすぐるように
過ぎていった犯罪にも似た
女犯のひととき
とても気持ちよかったよ
うわずった上気した顔に
キスをして
また始まった
白昼の性行為
 

海の上の凪

風と海と酒
最後が重要なんだと、彼は言う
酒に酔ってないと
やってやれるかと

アルコールが体を駆けめぐり
彼は目を覚ます
ふやけたからだが
今日も熱い

だから言う
もう一本ちょうだい
 

エコーズ

こだまたち
ひかりより遅く
音速で移動する

その輝きに
ひかりではない
音の輝きに

ぼくは耳をすましていた
今頃あらわれた
コピーに耳を奪われる人たち

あたらしいこえに
こだまは聞こえない
 

こころに虹をかける
僕はここにいる
何もしなくてもいいんだよ
きみはそう言って、笑ったから
ここに僕がいる

そこにきみはいないね
どこにいったのか
どーしてもわからないんだけれど
きみの笑顔が僕を勇気づけるから
ここにいられる

だから僕を探さないで
ここにいるのだから
ぼくを探したりしないで
 

ぼく

僕が僕であるために
考えなければならない

ヒトはいつ生まれ、いつ死ぬのだろうか?
そんなことを考えながら、ゆっくり過ごす午後

今日の夕飯はなんだろう?
ときどきはそんなことも考える

ただ、こんな風に思ってるだけさ
理由なんて別にない

理由を見出すとしたら
僕が病人だということだろうか

精神病なんてどこからやってくるのか
そんなわからない理由を
ヒトに問うてはならない

自分で見つけなければ
時は永久にまわってこない

だから、考え続けている
僕は、僕のために

それが僕なのだから
何を答えればいいのだろうか?
 

闇の歌

君に歌う
闇の歌、夜の声、星の空
光が見えていなくても
歌うことは出来る

底知れぬ闇の果てから
襲い来る言葉を歌に変えて

僕はいつでも歌ってる
君にはきこえないだけなのさ
 

星がこんなにあふれていても
地上の光は、空を消してしまう

ただぼおーっと光るこの街の夜空に
UFOがやってくるのさ

コンビニでは買えない
真の恐怖を味わうがいい
 

こころを静かに
闇の歌を、僕らはどこにいる
そんな言葉を探しながら
低く声を出すのさ
ギターを鳴らしながら

だから僕の歌にだれも
耳をかたむけない

空が黙って聞いている
僕は一人で歌っている
 

サイレン

夜風に吹かれて夜の道をあるく
買い物が帰りの主婦達や
あそびの最中の子供達
夕暮れ過ぎのこの時間には
ふしぎな感覚があふれている

そう感じる僕も不思議
いつのまにか誰も知らない世界に
いってきたよう

夜の交通の多さに
句読点を打つ
救急車のサイレンに
ぼくは立ち止まって眺めていた
 

極楽鳥

空にとぶ 飛ばない朱いとり
しらけた空気の中を、泳ぐように、渡るように
失速しないか、ハラハラしてみてる君は恋人

極楽鳥はトリ頭
三歩前のことは忘れてしまう

ぼくはいったい何を書いているのか
忘れてしまってもいいだろう
だれも僕を覚えていないから
僕も忘れることにしたのさ
 

おこた

おこた、おこた、おこたに足を入れてね
ふんふん、楽しいな
るんるん、あたたかい

足がふれてね
ちょっと失礼
温度を調節するのさ

ぷんぷん、猫も入れてね
いっしょにあったまろう
ぼくの足はふんわかぽかぽか

今日

今日という日はよき日であったか
今日という日はすこやかであったか

なんて
思ってみたりした
おばあちゃんの二十三回忌
親戚一同集まって
昔の話をしたり
ご飯を食べたり

でもこうして夜に
文章を書く僕がいる

だから今日はとってもよい日だったんだなぁ
とおもう
ひとりのつぶやき
いつも、いつも

どうも、こんにちわ

新世紀がくる、新世紀がくるよ
何も変わらないように見える
この年の瀬に

キリスト教信者でもない、僕たちに
西暦が何をくれただろうか
地球語は英語、地球歴は西暦
ヨーロッパ文化圏でもないのに
僕らは使ってるね

その節操のなさが日本人だとか
どこかで読んだようなフレーズが浮かぶけど
うーん、別にいいよね
誰も怒っていないから

ふうん、別に不思議に思わなければ
なんてない事だな
どうも、こんにちわ
 

とおい夏の休日

風にながされて、こころも飛ばされる
帽子を手で押さえていた君は
いつの日かの少女

風に飛ばされるほどの、笑顔で笑って
ほら、会いに来たよ
約束、忘れないでいた

とおい夏の休日
 

クリスマス

僕らの肩に降る雪はまぼろし
この都会で、眠らない町で
雪なんか降っちゃいない

でもなぜか

肩に積もる雪のように
想いを凍らせる

自分の肩を抱きしめても
誰もいないから
ただそっとつぶやくだけ

聞こえなかった言葉
その言葉がメリークリスマス
 

電飾の街

クリスマスかぁ
あんまり関係ないと思ってたんだけど
街は人でいっぱい
電飾が街を飾るね

僕らはその間を歩いてる二つの影
影と影の間を闇がさらうように
引き留めるために手をつなぐ

街は大入り満員
いつもと少し違った夜だった
僕も少しだけかわっていたのかもしれない
 

真白き雪の降る夜は

真白き雪の降る夜は
そっと悲しみにふれてみよう
あたたかい雫は頬をぬらし
きっと言葉がこぼれるはず

こぼれ落ちた言葉を
拾って組み立てる
哀れを誘う場面だけど
ぐっとこらえてなくちゃいけない

寂しがり屋の言葉が踊り出すまで
僕はここで見ていよう
きっとあたたかな笑顔に会える
そう信じて見ていよう
 

聞こえない鐘

この夜に耳を澄ましても聞こえない
誰かがどこかで聞いている
そんな気がした

でも何故か、砂がこぼれ落ち落ちてゆくように
その思いは僕にはとどかない
遠くどこかで聞こえているだけ

ひとり夜を待てばいい
そう思えるから、それでいい

闇夜に消えて行く鐘の音
 

2001年の初めに

HALは出来なかったけれど
2001年宇宙の旅は出来なかったけれど
僕らは生きている
そのことによろこびを見いだそう

ぼくら20世紀の果てからやってきた
新しい世紀をのぞき見するだけ
新しい世紀の主役はこれから生まれる子供たち
生まれ来る子供たちのために
今の地球を守っていこう

それが僕らの責務だと考える
僕らには実行する力がある
その言葉を信じてすすめ!
 

はぁ

夜のしじまに手をポケットに入れて歩く
少し風が寒いけれど、耳を手で温めて
はぁ
と息をつく
あるけどあるけど着かないものならば
いっそこの地で眠ろうか
明日の朝、起きれるものならば

そんな幻想は、俺には似合わない
やっとみつけた自販機の缶ジュースで
体を温めて
さぁ もう一度出発だ

いづこへ

きらりと光る窓の外に灯りが流れてゆく
あれはクルマだ
僕はコーヒーを飲みながらそれを見ている

僕と喋ってるこの人も
あの灯りのひとつになる
ぼくはどこへ行けばいいのだろう

灯りに思いを寄せてみても何も帰ってこないから
一人で考える

さて、ぼくはどこへ行くのだろう

風のみが知る

夜に想いを届けてみよう
気流に乗って、深海に誘って
君まで届くかも

どこか遠い場所にいけたらいいねなんて
僕は言わないけれど
君は思ってるはずさ

どこまでも不釣り合いな僕たちの行く末は
風のみが知る

ひとつ

さび付いた脳に釘を打てば何が出てくる
真っ赤な血か、それともどろどろした何か
僕は血を欲しているわけではない

地には平和を
地上より永久に

なにが言いたいのか、僕には不思議なフレーズで
みんな本を書くんだね

僕のしたいことはひとつ
 
 

ペンネーム   は     リンク
 
 

他のページへ
TOPページへ移動
 
 
 
 
 

このページは
Netscape Communicator 4.7で
制作、確認しています